此方で何度か熱い調子で3バンドポータブルの傑作と称賛して来たモデルです。72年にワールドボーイシリーズ最後のGXOと同時に発売されています。販売価格は¥13800。出力2.6WはGXOと同じで当時としては最強、感度もGXOと並び当時としてはベストです。多分感度だけを言うなら今でもベストの一台に入るでしょう。此方で扱うのは15台目です。初めてこのラジオに触った当初はナショナルがどうしてこんな地味なラジオを出したのか正直分かりませんでした。価格はGXOと¥4000程度しか違わず、その割にはチューニングメーターも、トランスミッター機能も無い、デザインは地味で目立たない、同時代のソニーの物に比べると大きくて重い、じゃあ存在意義は?とまあ、こんな感じでした。大きさやデザイン、使われているパーツから見てGXOのアクセサリを除いたストリップモデル、ターゲット顧客はラジオにそれ程煩くない人達だろうと言うのが見立てでした。が、何台か扱うと、このモデルの方がGXOよりも更に強固なボディである事、同じ様に見えて実は奥行きがあり内容積も大きい事、更にはGXOとの鳴き比べでは明らかにTXの方が音が良い事に気づきました。特に低音の力強さは特筆物です。過去3年近く、1000台位の色々なラジオを扱って来ましたが、このラジオTXは感度、音、耐久性更にはコスパを含めてベストの一台であろうと言うのが個人的結論です。個々の要素、例えば音について言えば美音では同時期のビクターの物より多少劣り、音楽を聴く用途にはビクターの方が良いでしょう。或いは感度、選択度などについてはソニーのEX5、最新の中華ラジオの上級機には劣ります。デザインは好みは別として傑出して魅力的なものとは言えません。一方で耐久性は全ラジオを見渡してもこの頃のワールドボーイシリーズに勝るものはありません。総じて、このモデルは全てにバランスが取れた傑作です。ギミック不要な方にはこれ一台有ればラジオライフを満喫出来ます。この個体は全体的な状態、機能には全く問題は無く、安心してお勧めできる一台ですが、唯一短波の切替に多少接触不良があります。他は機能的に問題無くAM、FMは本来の堂々とした音。キズ汚れも少なく美品と言っても良いのですが、少し控えめで良品とします。ラジオ好きの方にお薦めです。ACコード、電池付。
商品の情報
カテゴリー | 家電・スマホ・カメラ > オーディオ機器 > ラジオ |
ブランド | パナソニック |
商品の状態 | やや傷や汚れあり |